「日本の響き」と題したコンサートを盛り上げて下さるゲストの方々をご紹介します!

まずは、日本を代表する津軽三味線の巨匠! 木乃下真市さん!!

木乃下さんとの最初の出会いは、林英哲さんのアルバム「」でした。
僕はこのアルバムで1曲アレンジさせて頂いたのですが、
木乃下さんのその完璧なテクニックと魂溢れる演奏に、
「凄いっ!」と感じたのでした。

その後、1997年に新題名のない音楽会で林英哲さんの特集をした際、
木乃下さんの「海流」という曲をオーケストラとのダブル・コンチェルトとしてアレンジしました。

この時、「津軽三味線とオーケストラはいける!」
と直感し、後に「津軽三味線とオーケストラのための“絃魂”」を作曲することとなったのでした。

そして、今回「絃魂」のドイツ、いやヨーロッパ初演ということになります。
多分、ケルン市民の皆さんは初めて津軽三味線を聴くのでしょうね。
反応が楽しみです。

そして、ケルンからもリクエストがあった和太鼓は、
世界的太鼓奏者の林英哲さんと、彼のお弟子さんたちである英哲風雲の会から上田秀一郎さんと田代誠さんに参加して頂きます!!

英哲さんとは、もうかなり長いお付き合いをさせて頂いています。
最初の出会いは、実は僕がヨーロッパを放浪していた時代、
英哲さんとマリンバの安倍圭子さんがオランダで公演していて、その時お会いしているんです。
この時はご挨拶程度だったのですが、
1993年に安倍さんのために書いた「マリンバと日本太鼓、2人の打楽器のための四座響宴」を初演して頂きました。
その後は、前述したアルバムへの参加や番組のアレンジなどを経て、
去年初演した「協奏三章“鼓神”〜和太鼓と吹奏楽のための〜」と「和太鼓と打楽器アンサンブルのための“鼓神 II”」と2作連続して拙作を初演して頂きました。

最初に出会ってから、もう20年以上経つのですが、
全然変わらないんですよ! お顔も身体も!!
あの神々しい大太鼓を打つ時の後ろ姿。
ほとばしる魂の炎を見るような組太鼓を叩く時の姿。
ソロ活動25周年を迎えた昨年のコンサートも、多くのファンでサントリーホールを埋め尽くしていました。

今回、その英哲さんとの満を持してのオーケストラとの協奏。
英哲風雲の会のお二人にも参加して頂き、
ソロを伴ったコンチェルトグロッソ(合奏協奏曲)という形態で、新たな境地へ進むべく、作曲に取りかかりました。

しかし、、、

かなり難産でした。
構想は、この話を頂いてからなので2007年から。
何度スケッチを破棄し、スコアを書き直したでしょう。
オーケストラからは、完成はこの3月末までにという契約だったのですが、
ようやく、ようやく完成したのは6月でした。

もう出し切った、という感じですね。

タイトルは、
和太鼓とオーケストラのための協奏的断章 “鬼神”

「鬼神」とは、所謂角の生えた鬼ではなく、
古代日本の「鬼」と「神」を示すもので、
「鬼」は大地を守る神・大国主命、そして「神」は天上の神・天照大神を表すと云われています。
この協奏的断章では、和太鼓を大地の神「鬼」、オーケストラを天上の神「神」と位置づけ、観念的な天地の関係と、日本的文化とヨーロッパ的文化の洋の東西である「融合と対比」を作品に投影しています。

まぁ、作曲家の理屈はさておき、
きっと英哲さんと上田さん・田代さんの凄まじいパワーが、
ドイツ人の度肝を抜くことでしょう。