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現代音楽からTV・映画の劇伴や舞台・イベントなどの作曲や編曲etc.

Column 2002年「ドイツ&ノルウェー旅日記」

9月27日(金)またまた小雨のち曇り

どうも今回の旅は、天候に恵まれてないのかなぁ。

今日のコンサートは、朝の11時開演です。日本では、そんなコンサートないよね。「Young People Concert」は日本でいう、小学生から高校生までの年代の学生を招待してのコンサートです。

早めの朝食を取ってコンサート会場へ。 会場には、すでに学生がかなりの数集まっていました。こういう歴史のある劇場で、一流のオーケストラの演奏を体験できるのは、子供達にとってとても有意義なことです。Fechner氏の解説も、子供達の興味を引くような話術(ドイツ語の分からない僕にもそう感じられた)で、彼らが興味津々で聞いている姿が、とても印象的でした。

さて、コンサートの方は、昨日と同じプログラムで進められ、同じように僕もステージに呼ばれました。今日は、昨日と違い落ち着いているぞ。英語でのトークにも少し余裕がありました。その分、ステージから客席を意識して見ることが出来たのですが、作曲家というモノを目の前に見るのが珍しいのか、みんなパンダを見るような目で見ている。そりゃ、普段聴くクラシックの大抵の作曲家は、歴史上の、つまり死んでしまった作曲家ばかりですからね。コンサート前の打ち合わせでも、Fechner氏が「子供達にとって『生きている』作曲家を見るのはセンセーショナルだろう」なんて話していましたが、作曲家ってドイツでも、もう恐竜のような存在なのかしら・・・。嬉しいような、悲しいような。

でも、何かしら子供達の印象に残ってくれればと思います。音楽って、決して過去のものではなく、今を生きている人達のためにあるんだからね。そして、それが受け継がれていく事が、本当の意味での「クラシック」なのだと思うから。演奏の方は、昨日にも増しての熱演で、お客さんからもブラボーの声(奇声?)が上がるほどの受け様でした。僕の作品「民舞組曲」を選曲してくれたFechner氏も、ステージ上で嬉しそうでした。

コンサートが終わり、ステージ裏へお礼の挨拶に行くと、オーケストラの楽員も嬉しそうに握手を求めに来てくました。もちろん、パーカッションのメンバーの顔も、いっぱいの笑顔でした。日本から持ってきた拍子木と鈴を、今回の演奏会の記念にプレゼント。うちわ太鼓も欲しそうだったけど、これは次のノルウェーでのコンサートでも使うので勘弁してもらうことに。ヨーロッパと言うのは、打楽器がアジアより発展しなかった経緯があります。特に「皮もの」の楽器である太鼓は、アジアの方が断然種類が多いのです。その意味でも、彼らがとてもこの「うちわ太鼓」に興味を持ったのもムリはありません。僕の連絡先を渡して、もし気に入ったのなら僕が日本から送るよ、と伝えたらメッチャ嬉しそうにしていました。そりゃ、こっちじゃ手に入らないもんな。Fechner氏と指揮者のBufalini氏、オケのマネージャーとスタッフ、みな今回のコンサートに満足している顔でした。何度も握手をし、何度も感謝の言葉を言い、別れ難い気持ちを押さえつつ、会場をあとに。

外はまだ雨でしたが、僕の心は晴れ晴れとしていました。 「まずは、ミュンヘンは無事成功かな。」そんな感想を持ちながら、一旦ホテルへ。今日はマチネ(朝からだけど)だったので、ホテルへ戻ってもまだ2時くらいです。さて、これからはじっくり観光タイム。まずは、今回是非行ってみたかったドイツ博物館へ。ここは凄いんですよ!もう何が凄いって、このドイツ人のこだわりようったらないです。歴史を追った地下の炭坑のジオラマ。しかも実物大の炭坑扶までいるんですよ。本物の炭坑のように複雑な通り道で、約800mはあるそうです。それから、ヘリコプターや飛行機の実物の展示。メッサ?シュミットやジェット戦闘機、旅客機の実物もあるんですよ。もうその量は半端じゃありません。その他、帆船や気球、車や蒸気機関、化学や原子関係、楽器等などドイツの誇る様々なものが分かりやすく展示してありました。もう1日中いても飽きないな。気がつけば閉館時間になってました。段々電気が消えていくんですよ。おいおい、まだ人いるよ。こんな強引なところもドイツなんでしょうかね。

夕食は、今夜はホフブロイという王立ビール工場直営のビヤホールへ行く計画でした。他のケラー(ビール工場直営店)やレストランで毎日ビールは飲んでるんですが、やはりホフブロイは一度は行かなきゃね。 ところが、店の前に行ってビックリ。もうそこには長蛇の列。しかも並んでる連中は、すでにオクトーバーフェストで酔っ払ってるし…。とてもシラフの僕達は入れそうにないので、近くのレストランへ予定変更。ここもかなりの賑わいだったけれど、この位の方がお祭りらしいなということで入店。お店には、地元ッ子やドイツの各地方だけではなく、イタリアやアメリカなど多くの人種が混ざり合って食事をしていました。おお、コスモポリタンな感じだ。僕らのテーブルのウエイターさんも、チュニジアから来た出稼ぎさんらしく、ドイツ・イタリア・英語等など計5カ国語を話すと言っていました。日本語もチョット。ヨーロッパって陸続きだから、こういうお祭りの期間だと、いろんな国から「人間」が流入して来ます。「観光客」と言わなかったのは、それ以外にスリ集団やジプシー、ヒッピーなども多いから。

も、そういう人達がとりあえず入国できるのが、陸続きの特徴なんでしょうね。そういう僕も、16年前のヨーロッパ放浪時代、ビザの有効期間の3ヶ月以内で、いろんな国々を転々としてましたからね。その頃の僕みたいな人達が、ここには大勢いるんですよ。大勢いるから気にならないし、取り締まりも厳しくない。まぁ、そんなのんきな所がイイですね。 さて、そうして夜中の12時を過ぎて店を出ても、街中はまだまだ賑わっている。地下鉄やトラムも1時過ぎまであるから、ホントに便利。ドイツは、ヨーロッパの中でも治安の良い国だけど、それがまた安心感となって賑わっているのでしょう。

明日は、バイエルン放送響のヴァイオン奏者の鈴木さんが市内を案内してくれるそうなので、今日のことろはこの辺で帰って寝るとします。