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現代音楽からTV・映画の劇伴や舞台・イベントなどの作曲や編曲etc.

Column コラム

喚起の時へ Vol.3 喚起の夜、そしてライヴ盤リリースへ

2004年07月04日|コラム

連続3回の予定のコラムのはずが…リリース準備と締め切りに追われ、ちょっと3回目が遅くなってしまいました。まずは、深くおわびいたします。。。

さて、長い長い準備期間と怒濤のリハーサルを終え、いよいよコンサート 当日。北は北海道から南は九州まで、全国から多くの方々がサントリーホー ルにおいで下さいました。本当に本当にありがとうございました。

開場前から入り口前には人集りができ、当日券売り場も長蛇の列。主催者 としては、お客様がこんなに来てもらえるほど嬉しいことはありません。オ マケに(オマケと言っては怒られちゃいますね)お祝いのロビーのお花も28 本!!これはサントリーホールの記録らしいです。この場を借りて、お仕事関係をはじめ友人知人達にもお礼申し上げます。

午後6時35分。5分押しで暗転の中から「笛と邦楽打楽器、西洋打楽器のための楽市七座」でコンサートは始まりました。今回のコンサートは、通常の クラシックのコンサートとは異なり、第1部と第2部に照明演出を入れ、特に第2部にはスクリーン映像も導入しました。音楽は聴覚芸術ですが、コンサートという生モノでの視覚効果はより臨場感を高め音楽に集中する効果があるんですね。さらにスクリーンでは、第2部の映像音楽の作品、「忠臣蔵~決断の時」と「犬夜叉」を上映し、その作品の世界を味わえるようにしま した。

それと、今回曲間のMCも担当したのですが、これがまた大変で、指揮を して息も絶え絶えのところをMCだなんて、まさに窒息死寸前。そんな僕のMCを完璧にサポートしてくれたのが日高のり子さん。ノン子さんの機転の利いたオシャベリには本当にいろいろと助けてもらいました。

さらに、第2部にはスペシャルゲストをお二人。まずは犬夜叉役の山口 勝平さん。勝平さんにはコンサートも楽しんでもらおうと、客席から登場。 きっと隣に座っていた人はビックリだったでしょうね。そして2部最後にシークレットゲストとして題名のない音楽会21でお馴染の羽田健太郎さん。題名の仕事で、羽田さんに「今度こんなコンサートをするんですよ」って話 したら、「それじゃ、僕も応援に駆けつけるよ。シークレットゲストとして当日バッと出ていってお客さんをビックリさせよう」なんて嬉しい提案での出演でした。

羽田さんの狙い通り、羽田さんの登場とともに会場にはどよめきの声が。ここで是非ということで、映画犬夜叉の「時代を越える想い」をピアノとオーケストラで演奏していただきました。この曲は今回のために新アレンジをしたのですが、忙しい羽田さん故、当日のゲネプロしか合わせ ができなかったのですが、もう本番は完璧。羽田さんのアドリブも入り感動 の一曲でした。

そして第3部。10年分の汗をかきながらも順調に進行していき、いよいよオーケストラ作品。もうこの段階でかなりの体力を消費して、舞台裏では横 になりながら酸素吸入をしていました。

3部での目玉は、やはり世界初演の「津軽三味線とオーケストラのための “絃魂”」です。協奏曲というのは、かなり指揮者にとって神経を使うもの で、特にこの曲は当夜のコンサートの中で一番の難曲でした。ステージに登場した木下さんにも、緊張の様子が伺えます。チューニングをし、ちょっと間を取っり呼吸を調えて、いざ!曲が始まってからは、今までの緊張がうそ のように木下さんの三味線とオーケストラが音の糸を紡いでいきました。曲の終わりとともにブラボーの声。木下さんの顔にも笑みがこぼれます。この様子は、是非6月30日にリリースしたCD&DVDでご覧になって下さいね。 

そして、いよいよラスト「管絃楽のための交響的印象“海響”」。これは もう渾身の力を振り絞り、燃えに燃えましたよ。まさに明日のジョーのよう に真っ白になっちまった、という感じでした。オーケストラも鳴りに鳴らしてました。これはやはりライヴだからこその興奮でしょう。日頃、レコーデ ィングでオーケストラを振っているのとはまるっきり感覚が違うんですね。 ライヴ盤をリリースする予定なので、本当はミスの無いように演奏した方が良いのですが、そんなクールな状態ではなかったです。  興奮のるつぼとともに演奏を終え、一言ご挨拶してアンコール。

ここでハプニング! あ!スコアがない! いつもは自分の曲でもスコアを見ながら指揮をするのですが、それというのも少しでも指揮者として冷静さを保つために、自分の前にスコアを置くんです。でも、アンコールでやる「犬夜叉幻想」は第2部で演奏した曲だったので、楽屋に置き忘れていたんです。もう暗譜でやるしかない。これはつまりはノリノリでやれってことなんですね。この辺の様子もDVDにしっかり収録されていますから観てみて下さいね。お客様には後ろ姿なので見せてはいないのですが、「ヤバッ!」っていう瞬間がありますから。(汗)

終演時間を10分くらいオーバーして、僕の初の個展コンサートは無事終了しました。その後、隣の全日空ホテルで打ち上げパーティをしたのですが 200名くらいお集まり頂き、いろいろとコンサートの感想やご意見を頂きました。こういうコンサート後すぐの感想が次回の参考になるんですね。さて、次回いつになることやら。。。

待ちに待ったコンサートのライヴ盤CD&DVDが、先月6月30日にやっと リリースできました。実はCDのミッスクダウンは昨年の12月に、そして映 像の編集も今年の3月には上がっていたんです。なのに何故リリースまで時間がかかったのか? 今回のCD&DVD、僕の言うのも何ですが、安いと思いません?税抜き本 体価格で2,191円。実は、この値段設定のためリリースに時間がかかってしまったのでした。この値段では、レコード会社や一般レコード流通ではとても扱いにくいんですね。つまり1枚あたりのマージンが低すぎて、会社としては儲けにくいと。

では、何故この値段にこだわったか。理由は二つありました。1つは、中学生や高校生のお小遣いでも買える金額にしたいということでした。僕の音楽を聴いて下さる多くのリスナーは、「犬夜叉」などをはじめとしたアニメがきっかけとなった方が多いと思います。その視聴者層でもある中高生に是 非今回のアルバムを聴いて欲しかったんですね。

そしてもう1つの理由は、日本のCDの値段の高さです。アメリカではCD1 枚あたり大体15ドルから18ドルです。ヨーロッパも同じくらいの値段設定。同じ先進国として日本は世界でいちばん高いCDを買わされているわけです。しかも今CCCDなどの付加処理CDの流れが業界では進行していますが、コピー問題をこの方法で解決できるのかという疑問が僕にはありました。

ましてや20年以上も前のCDフォーマット、44.1kHz/16bitから未だに進化がないのは業界の怠慢だと思うんですよね。それを高価な値段や付加処理CDにしてリスナーに提示することは、僕にはどうしても出来なかったのです。僕は、今回のアルバムの値段は適正な値段だと思っています。業界からは異端児扱いされると思いますが、いち視聴者、いち消費者としての立場も踏まえつつ、今後も自分のレーベルでアルバムをリリースしていきたいと思っています。

ああ、最後にちょっと爆弾発言をしてしまいましたが、コンサートを作ろうと思ったときから、アルバムリリースまで、これが全部ひとつで今回の個 展と言えます。どういう音楽を作っていくのか、そしてそれをどのように伝えるのかを真摯に自問自答しながら、これからも音楽創作に励みたいと思います。

これからも皆さんの応援を期待していますね。それが僕にとって一番のエ ネルギー源ですから!